ネット小説の中の軍隊格闘技の扱いについて

先日の「小説家になろう」登場武術ランキング2017 - 火薬と鋼に関連して、六葉さん(@h_rokuyou)さんの次のようなツィートがあった。


前からネット小説の中の軍隊格闘技の扱いについて書こうと思っていたので、ちょうどいい機会なので書いてみる。

  • まず前提として、現在「小説家になろう」等に投稿されるネット小説の主流はファンタジー異世界など特殊な世界観で戦闘では剣と魔法が主に使われている。
  • 登場する武術の多くは創作であり、特殊な世界観に合わせたものがほとんどである。
  • ネット小説に登場する実在武術は、その武術が本来想定している状況や仮想敵といったものは必ずしも重視されない。
    • ネット小説に適合できるかどうかはその武術のイメージや来歴といった要素とどれだけ戦闘能力を作品に合わせて膨らませられるか。
    • 威力の増大は強い武器の使用、あるいは魔法や気など特殊な技術との組み合わせで説明される。
    • 軍隊格闘技は軍・実戦・冷酷さといったイメージは強固だが、戦闘能力については極端には膨らませられないものとして扱われている。
  • 情報の少なさの問題
    • そもそも軍隊格闘技の存在を知らない人はかなりいる。
    • 技術の全体像についての知識も得にくい。結果的に誤解もある。
    • 他の武術でできることが軍隊格闘技でしかできないと思われていたり、軍隊格闘技でできることができないと思われていたり。
    • ネットや書籍、あるいは格闘技漫画などの既存のフィクションで得られる知識の限界も影響しているのだろう。
  • こうした事情で軍隊格闘技は登場する作品が少なく、登場する場合は3パターンがある。
    • 1.軍事、ミリタリー色が強いパターン
      • 兵士や元兵士が登場する話は少数だがある。
      • 架空戦記から異世界転移まであるが作品例は少ない。
      • 軍事オタクが主人公でその知識で活躍する話もこれに近い。
    • 2.軍と関わりがなく護身術、対人格闘を主としたパターン
      • 一番多いのがこのパターン。現代日本を舞台とした話もあれば異世界の話もある。
      • 異世界が舞台でもモンスターや強大な存在と戦うばかりではなく人や人型の存在と戦う話も多い。そうした場合、軍隊格闘技のような格闘技経験はそのまま活用される。
      • 軍隊格闘技使いは軍人から教わっている場合もあれば軍とのつながりがない場合もある。
      • このパターンでは軍隊格闘技は意外性、特殊性、実戦性がある特別な格闘技として扱われる。
    • 3.無数の格闘技の中の一つとして登場するパターン
      • 登場人物の強さの演出として無数の格闘技をマスターしている例があり、その中の一つに軍隊格闘技が出てくることがある。
      • この場合、説明はされてもあまり具体的な活躍はしないことが多い。