みんみんぜみさん(@inuchochin)のツィートから。
「当て身」をギースの当て身投げの略から生まれた「敵の攻撃を投げ返す技」という意味で使ってる層は今どれくらいいるんだろ。調度格ゲーにはまってた時期にその言葉が生まれて使われていくのを見てたから気になる。当て身って殴る事だと思ってたからあの略しかたは当時気になってた。
— みんみんぜみ (@inuchochin) 2017年7月27日
「当て身」(または当身)というと本来は打撃技、特に柔術の打撃技の呼称に使われるが、格闘ゲームの用語から派生してカウンターの投げ技の意味で使われることがある。ではその例はどのくらい使われているのだろうか。
当て身の用例について、以前Googleサイト内検索を使ってネット小説サイトを調べたことがある(その時はボツにした)。そのデータでは古いので同じ調査を再度やってみる。
検索対象は「小説家になろう」「ハーメルン」の二つのネット小説投稿サイト。検索は2017年7月28日午前6時に実施した。
「当て身/当身」登場件数
キーワード | 小説家になろう | ハーメルン |
---|---|---|
当て身 | 79 | 78 |
当て身+気絶 | 60 | 63 |
当て身+手刀 | 39 | 41 |
当て身+首 | 66 | 64 |
当て身+みぞおち | 25 | 6 |
当て身投げ | 10 | 25 |
当身 | 78 | 74 |
当身+気絶 | 62 | 59 |
当身+手刀 | 32 | 27 |
当身+首 | 63 | 64 |
当身+みぞおち | 31 | 14 |
当身投げ | 5 | 10 |
まとめと雑感
- もともとは人は首への手刀で気絶するかを書いた後に同様の技術を「当て身」としている創作が多いようなので調べたものだ。
- その時は検索環境や検索方法で件数がだいぶ変わるのでボツにした。今回も参考程度。合算と内訳が一致しないのが最大の問題。
- 件数だけでは分からないのでヒットした文章は確認している。
- 有名な例は『ジョジョの奇妙な冒険』第二部の花京院がやった例だが、時代小説でもよく登場する。
- 結果から言うと「ネット小説の当て身はほぼ相手を気絶させるための打撃技であり、その攻撃対象はほとんど首である」
- 上の検索は「気絶」のみだが「昏倒」「失神」「眠らせる」といった他の表現が使われている例もあるので実際には気絶目的で当て身が使われている作品はもっと多い。
- 手刀が多用されるが、攻撃手段が書いていない作品も多い。
- 次に多いのは「腹部を殴ることで気絶させる」というもの。
- 上の検索では「みぞおち」のみ調べたが腹・脇腹・脾腹など様々な例がある。
- その次に多いのは柔術等での特に気絶を目的としていない打撃技である。
- 武術の世界での呼称と同じようなものだが、創作の技が多い。
- 「当て身投げ/当身投げ」は少なく、それ以外の「当て身/当身」で格闘ゲームのようなカウンター投げとしている例は更に少ない。
- 相手を気絶させる技としての当て身は、恐らく既存の小説の影響がある。
- Googleブックスを検索すると時代小説や推理小説、ライトノベルなど幅広い小説で、気絶目的で使う打撃技を当て身/当身としている作品が多数見られる。
- 視覚的な情報としては漫画やドラマの影響も考えられる。
- 気絶のための打撃ということから派生して、「当て身とは軽い打撃」や「気絶しているのは当て身を受けたから」といった解釈が書籍やネット小説に登場することがある。
- この解釈は複数の小説で見られる。
- 「軽い打撃」というのは技の見た目に起因するのか、それとも殺傷目的ではないからなのか。
- 「気絶=当身を受けた」というのは、他に人を気絶させる方法がないと思われているからか。