ある大学図書館とCOVID-19対応(5月)

本業の大学図書館について今月も書いておく。

過去:
machida77.hatenadiary.jp

連休と緊急事態宣言延長

4月末時点に緊急事態宣言が延長されることは予想された。
大学図書館の予定に影響するのは、その延長期間の長さと、大学がいつ授業体制や施設利用の方針決定を行うかだ。
こういう時、判断が早い大学は政府の発表前に緊急事態宣言が継続されても問題ない予定を立てて発表する。
判断の遅い大学ではそうはならず、緊急事態宣言が解除される前提の予定をギリギリまで崩さない。
ウチの大学は判断が遅いので、図書館としては、連休前に複数のパターンを想定して準備を行った。
表向きは緊急事態宣言解除に合わせた開館スケジュールを公開し、裏では宣言延長で図書館閉館が続く想定のスケジュール案と告知案を用意しておくのだ。
5月4日に緊急事態宣言の延長が発表され、連休明けの5月7日には用意しておいた閉館延長と貸出期限延長を発表した。

図書館サービス再開の紆余曲折

緊急事態宣言の間も後(5月)も、ウチの大学は登校禁止で閉館しており、それに合わせて図書館サービスも実質休止状態だった。
これは大学図書館としては極端な対応で、他大学では郵送での貸出や出入口での貸出など部分的にサービスを実施している館も珍しくない。
ウチの図書館でも部分的にサービス再開しようと思ったが、新型コロナ対策本部と協議し、各学部の教員、事務部長と協議し…と各方面と検討し、合意を得る必要がある。
このサービス再開の協議の難しいところは、部署によって登校に対する制限の考え方が違うという点、そして学生の登校をいつ認めるかの予定が何度か変わったことだ。
「学生の登校がない期間は郵送貸出と事前申請式の貸出・文献複写」「登校再開後は制限つきで図書館開館を段階的に認める」という方針を簡単に認める学部もあれば難しい学部もある。対策本部は全学共通で良いと考えても学部によっては事務局が合意しない。
このため他と違う登校制限・スケジュールを想定している事務局との協議に日数がかかった。
そして日数がかかると状況が変わり、大学全体の方針も少しずつ変わるため、更なる再調整が必要になる。
最終的に全学で6月の図書館予定の発表が終わったのは5月29日だった。

開館再開の準備

5月から登校再開の可能性があったため、4月からそれに対応した開館再開の準備は進めていた。
具体的には「消毒液など衛生用品の確保」「カウンターの透明カーテンや閲覧席のパーティションなど感染対策設備の導入」「図書館の感染対策のためのガイドライン策定」といったことだ。ガイドラインはどの程度の図書館利用を認めていくかとも関わるので暫定案である。

遠隔授業の対応

図書館では遠隔授業や在宅学習に使えるデータベースや動画配信サービスの紹介とガイダンスを継続的に行っている。
そのためか、Zoomの使い方とか、著作権処理の問題とか、遠隔授業に関連した質問も教員から来る。
5月は4月にもまして遠隔授業対応の質問が多く来た。

契約サービスの問題

ウチの大学図書館では複数の電子書籍サービスを契約している。
その一つの会社のリモートアクセス手続きが遅れに遅れて困っている。
何しろ4月下旬に申し込み手続きを終えているのに、現時点(5月30日)でもまだリモートアクセスできないのである。
申し込みが多いからという話だが、こちらから問い合わせないと「遅れている」という説明さえ無かった。
新型コロナウイルス対応で様々な図書館向け電子サービスがリモートアクセス増強を行ったが、会社ごとに対応速度にかなりの差がある。

今後の課題

6月以降の大学図書館の課題は、予定の立てにくさである。
従来、大学図書館は年間授業予定に基づいて開館・利用者サービスをスケジューリングしてきた。
大学の学期・試験期間といった予定が大学図書館の予定を決めるため、それらの年間予定が決まれば図書館のカレンダーも決められる。
しかし現在の状況では登校しての対面授業をどこまで戻せるか・継続できるか、予想が難しい。
いくつかの将来予想、それに対する学内の複数の対応の可能性を考えて図書館の予定を考えておかなければならない。
5月の経験から考えると、計画を立てることより計画の合意形成にかかる時間が問題になるので、それに備えておくとする。