出光美術館「生誕300年記念 池大雅─陽光の山水」

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出光美術館「生誕300年記念 池大雅─陽光の山水」に行ってきた。
当初は行く予定ではなかったが、複数の信頼できる鑑賞者が行って楽しんでいたので行くことにした。
思い返すと文人画中心の展覧会に行くのは久しぶりだ。
・陽光の山水とはうまい表現で、明るさに満ちた色彩と濃淡を言い表している。
・《山邨千馬図》や《三岳紀行図屏風》といった細部が描かれた作品や小さいものは実物を見る機会を得て良かった。
・瀟湘八景をまとめた《瀟湘勝概図屏風》は案内があっても平沙落雁が中々見つけられなくて視力の低下を感じた。
・《瀟湘勝概図屏風》の瀟湘八景が分かりにくいことは池大雅も気にしていたのか、裏面に略図と説明がある。

「現実的な視覚の歓びを優先したために、伝統的な瀟湘八景図とは違い、この屏風ではひとつひとつの景物がわかりにくくなっています。屏風の裏には大雅の描いた略図が貼られており、どの景物がどこに描かれているかを示しています(図 5)。屏風を注文した人への配慮ですね。」

佐藤康宏「知識人の絵画―南画とその享受者」(『慶應義塾大学教養研究センター2018年度基盤研究「教養研究」講演記録集) 』)より

・今回の展示で初めて練馬区立美術館が《比叡山真景図》を持っていることを知った。練馬区立美術館には何度も行っているが常設展示がないのでいまだに全貌が分からない。調べたら五味康祐所蔵のもので修復完了時に練馬で展示されていた。
木村蒹葭堂から得た書物、高芙蓉、韓天寿との登山といった交遊関係が取り上げられているあたり、董其昌『画禅室随筆』の「万巻の書を読み、万里の路を行く」という教えの実践と捉えることができて興味深い。
・《浅間山真景図》は《比叡山真景図》よりもさらにリアリティがある。天明大噴火前の姿だ。
・《十便十宜図》の10回展示替えはさすがに細かすぎて大変だ。
・《六遠図・試錐図巻》が好きなので、これを東京で見ることができたのは幸甚だった。