米軍納入のカランビット

 2005年にストライダーの新カランビットで紹介したStrider MBを入手した。米海兵隊に納入されたカランビットだ。この手の特異なナイフの軍納入がネットで分かりやすいかたちで確認できる例は珍しい。

 このナイフを海兵隊に納入したのは特殊部隊装備に興味がある人にはおなじみのDiamondback Tacticalだ。Diamondback Tacticalの独占で販売されていたのだが、最近別のディーラーでも扱われるようになった。なお、Diamondback Tacticalが扱ったモデルはハンドル材に黒のG-10を使用し、表面のテクスチャはStrider EBシリーズと同じものだった。私が入手したモデルはハンドル材に濃緑のG-10を使用し、溝が刻まれたものとなっている。
 このカランビットは、海兵隊ではタクティカルベストに装着するかたちで使われているらしい。実際ベストや他の装備とセットになったものがDiamondback Tacticalで販売されていた。もちろんベルトにも装着できるようにTEK-LOK付きのカイデックスシースが付属している。

 手に持った写真を見ての通り、かなり大きなモデルだ。エッジがついている部分の長さは約10cmある。全長(ポイントからリングの端まで)は約23.5cm。鋼材の厚さは約6mm。グリップやブレードの幅もかなりある。これは軍用の荒っぽい使用を意識しているためだという。フィンガーチャンネルもグローブの着用を意識しているらしい。それにしてももっとハンドルに丸みがあったほうが握りやすいと思う。ブレードの仕上げの荒さは同社のナイフらしい荒い仕上げだ。
 このStrider MBを格闘に使用する場合、大型でダブルエッジではないため使えない技法もあるが、軍ではある程度単純化した技法を重視するため問題にならないのだろう。かつて米軍向けにナイフ格闘を教えていた人は、3秒で相手を無力化する目的でアレンジしたコンビネーションを教えたと話していた。それだけシンプルにした技法を求めるということは、ナイフのほうも単純化して良いのだと考えられる。
 刃が直線に近いため、シースから抜きやすい。またリングに指を通さず刃に近いほうを持つと普通のナイフに近い感覚で扱うこともできる(リングが邪魔になるが)。セレーションとフィンガーチャンネルもそうした用法を意識してデザインされている。