栄養学の歴史:食卓の恐怖

栄養学の歴史 (KS医学・薬学専門書)

栄養学の歴史 (KS医学・薬学専門書)

 図書館の蔵書の都合上、食品、栄養関係の本を見る機会がやたらとある。
 この分野はカジュアル化した擬似科学、あるいは迷信というものが入り込んでいて、色々と悩ましい。
 特に公共図書館ではその手の擬似科学に対抗する資料が少ないため、バランスを取ることが難しい。
 その手の情報について、基礎的な流れを把握したい人にお勧めなのが今回の本だ。
 タイトルだけ見ると栄養学という学問や研究の歴史だけ扱っているように見えるが、それだけの本ではない。
 原題はTerrors of the table : the curious history of nutritionといい、これは現在広く受け入れられた栄養学の歴史にとどまらず、栄養学にまつわる錯誤、迷信、疑似科学、インチキといったものも紹介している本なのである。
栄養学の歴史 | 書籍情報 | 株式会社 講談社サイエンティフィク 内容紹介と目次
 比較的よく知られている壊血病脚気といった病気の過去の認識や錯誤についても紹介しているし、フードファディズム、インチキな健康法への批判もかなりの項を割いている。
 細かく見ていくと雑な部分もあるが、栄養学と錯誤・インチキの歴史を概観するには良い本だと思う。