http://digimaga.net/2009/07/military-robot-could-feed-on-dead-bodies.html
こんな記事をはてブでみつけた。
有機物を取り込むロボットEATRの開発をアメリカ国防総省が進めているというニュースだ。
このロボットは戦場の死体も燃料にするといったことが書かれている。
ニュースの元になったFOXNewsの記事http://www.foxnews.com/story/0,2933,532492,00.htmlも同じ内容だ。
しかし死体を動力源にするには加工にも手間がかかるし、倫理的問題も当然あるだろう。
第一、FOXNewsのニュースはあまりあてにならない。
そこで、FOXNewsで紹介している開発会社Robotic Technology社のWebサイトを見てみた。
下記リンクのPDFファイルが今回のEATRプロジェクトの概要だ。
http://www.robotictechnologyinc.com/images/upload/file/Presentation%20EATR%20Brief%20Overview%206%20April%2009.pdf
ここには、動物の死体なんて話は全く載っていない。
もちろん人間の死体についても書かれてはいない。
各種燃料を使えるハイブリッド・エンジンに加え、ロボットが自律的に木、草、紙といったものを選んで燃料にすると書かれている。
ここで燃料源とされているのは植物だ。
戦場の死体を燃料に使うというのは、FOXNewsがニュースを面白くするためにでっち上げた話だろう。
とは言え本来のEATRの話もかなりSF的で面白いものだ。
自分で燃料源を選択して動き続けるというのはかなり興味深い(どの程度理想に近づくかは難しいと思うが)。
これで自己修復や自己増殖の機能まで盛り込まれれば植物が動力源でも未来の人類の脅威の出来上がりだ。
しかしそこまで至るには、まだまだ壁がありすぎるだろう。
(2009-7-17追記)
FOXNewsの記事に対して同社から反論のプレスリリースが出た。
http://www.robotictechnologyinc.com/images/upload/file/Cyclone%20Power%20Press%20Release%20EATR%20Rumors%20Final%2016%20July%2009.pdf
同社のロボットがベジタリアンであり、人間の死体を燃料源とするようなものではないことが説明されている。
もともとの公式の情報を見れば、適切なバイオマスの例に植物しか挙げられていないのだから当然の話だ。
それを受けてFOXNewsにも訂正記事が出た。
最初の話のほうが衝撃的な分、訂正の情報はなかなか広まらないのではないかと推測する。
(2009-7-17追記2)
http://digimaga.net/2009/07/biomass-eating-military-robot-is-a-vegetarian.html
FOXNewsの訂正を受けてデジマガにも訂正記事がアップされた。
しかし「プログラムされている」とは大元の開発会社のプレスリリースには書かれていない(よく見たらFOXNewsにはあるので、FOXNewsが考えたのだろう)。
小枝、刈り取られた草、木片といった小さな植物由来のものを採集するように「デザインされている」と開発会社は書いているのであって、プログラム次第で肉を食う可能性があるかのように書くのは誇張だ。