ナイフ格闘のボツネタ「死のタイムテーブル」

 これまでここでは色々とナイフ格闘などの物騒な技術についても紹介してきた。しかしボツにした記事も多い。なぜかというと「悪用されたらまずい」というものも結構あるからだ。
 これが銃の技術であればまず問題はない。使う機会自体ないからだ。ところが刃物を扱う技術は、結構簡単に悪用されそうだ。特に相手が無防備な場合には、刃物は一瞬で相手の命を奪う。
 実際には厳格な線引きができないのだが、今日もボツ原稿が一つできたのでこんな話を書く羽目になった。
 ボツにした原稿は、「近代軍隊格闘技の立役者フェアバーンの主張したナイフの"死のタイムテーブル"は間違っていた」という話。この種の話題が好きな人ならおおむね知っている「死のタイムテーブル」という図がある。これは、第二次大戦時に近代軍隊格闘技を発展させたフェアバーンが作成した図だ。ナイフで攻撃する部位と気絶・死亡するまでの時間を示した図である(失血死を重視している)。あえて提示はしないが、英語で探せば簡単にみつかるだろう。今でもナイフ格闘技の指導者や学習者にはこの図に依拠している人がいる。
 しかしこの図、正しくないのである。
 数年前、警察で防御戦術を指導するクリストファー・グロスが医師の協力の元で現代の医学データを参考に検証したところ、現実と合わないものであることが明らかになった。
 単純にいえば、フェアバーンの「死のタイムテーブル」は、心拍数の増減や体格を無視しており、実際の戦闘における失血と合致しないという点が問題なのである。では、どのようにすればいいか。グロスは医学に基づいたナイフ格闘のポイントを指導している。
 …ここから先を書くとヤバいのでボツにした。