
- 作者: 速水健朗
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/18
- メディア: 新書
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この本はラーメンと日本の社会、産業、メディアといったものがどのように関わり、実像とイメージがどう変容してきたかを解き明かしたこれまでにない食文化史の本だ。
目次だけ見ると一見脈絡のない構成のようだが、多層的につながり、ラーメンという食品が反グローバリズムの下での愛国心に結びつくまでが分かりやすく述べられている。
書かれるかどうか気になっていた「グロービートジャパン対平和神軍観察会事件」についてはオウム真理教の話の後に言及されていた。
気になった点。
・ご当地ラーメンは観光目的、メディアによって作られたものという理解はどこまで言えるのか。もちろん同書ではこんな簡単な説明と理解ではなく、実際の例と標準化や普及の経緯について説明しているが、細かいところは詳しい人に聞いてみたいところだ。
・「化学調味料(うま味調味料)」の話にあまり触れていないこと。メディア化、反グローバリズムの中で発展していった「ご当人ラーメン」について、これと同様の流れで化学調味料否定も広まっていった。だが、実際にはこうしたご当人ラーメンは化学調味料を使っている例が結構ある。この辺の事情は例えばひえたろうさんのhttp://taizo3.net/hietaro/2008/06/post_305.phpも参考になる。「ご当人ラーメン」に限った話ではないが、現在のラーメンの表裏について、特に社会的な文脈と関わる要素はもっと語れることがあるのではないだろうか。
・上の件と同様、インスタントラーメン、カップ麺の変容もまだ語れる点があると思う。