ここ最近の格闘技マンガについてあれこれ

腰を痛めてあまり身動きがとれないので、やることがない。久々にマンガの話でも書こうと思う。

『TOUGH -タフ-』

・『TOUGH -タフ-』が終わった。『タフ』の迷走っぷりたるやかなりのものだが、鬼龍や尊鷹がただの親切な伯父さんになって弱くなってしまった上に出自の問題が混乱してしまったのは特に問題だろう。
・灘神陽流とは何だったのか。
・その後始まった外伝では鬼龍がゾンビ物のような世界観(出てくるのは謎のクリーチャーだが)で戦う話に。鬼龍でやる必要あるのか、これ。

範馬刃牙

コミケで入手した「だったらイケるぜ!」の感想本を読んだら、去年の12月時点では刃牙が勇次郎に虎王を決めていたところだった。進展してない。
・勇一郎が登場した意義は何だったのか。勇次郎と正反対というキャラ付けやエジプトの壁画から、代々続く親子の相克みたいな背景が出てくるのかと思っていたのだが。いずれにせよ、あの一連の話は勇次郎の特殊性を薄めたのであまり評価していない。
・処理しない伏線が多いのは勘弁してほしい。

餓狼伝』(板垣版)

・原作と現在の格闘技界との折り合いをつけられるかどうかが最も気になるポイント。
・海外のMMAの襲来といったかたちで葵流・ガルシーア柔術を一挙に出し、その流れで菊式編のキャラまで出せば一応処理はできる。やられ役が多くなりそうだが。

修羅の門 第弐門』

・格闘技マンガとしてはちゃんとしたストーリーになっている数少ないマンガの一つ。
・単行本1〜3巻までのかませキャラの数々がちょっと勿体無い感じ。かませが多すぎる。再登場はあるのか?
・毅波の試合が盛り上がったので、神武館の人間が再登場した時どれだけ面白くなるかが気になるところ。陣雷は加藤・末堂ポジションとしてあのままでいてほしい。

オールラウンダー廻

・マンガとして一番ちゃんとしているし、読んでいて面白い。女キャラの人気があるのも分かる。
・バランスが良いと同時に微妙に喰い足りないのは他のマンガのように突き抜けておかしいキャラが出てこないからだろう。ちょっと予定調和。

『空手小公子 小日向海流』

・このマンガは『はじめの一歩』の後継だ。試合の話はいいけど全体の話はわりとグダグダで。もし今後試合を重ねても全体の話が進まなかったり、試合の描写が長くなったりすれば確実に同じ道を歩む。


他にも読んでいるマンガはあるが、ちゃんと追えてないので今回は書けない。


(2012-08-19追記)


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id:Gl17さん
『セスタス』は一種の伝奇物としても出来が良いので好きです。読者としては掲載頻度が最大の悩み。あと古代を舞台としているのに格闘技術や理屈の部分がちょっと近代の話になってしまっているので、時々気になることがあります。
id:settu-jpさん
長編格闘技漫画を綺麗に終わらせるのは、競技としてかなり体制の整った格闘技をテーマにしたものでないと難しいのかもしれません。例えば部活動物であれば大会や期限(3年間)がありますが、異種格闘技・喧嘩を題材にしたものは、作者もあまり先の構想を考えていない事が多いように思えます。
id:wackingさん
鉄風』は狂気のような情念が装飾されることなくうまく描写されていて面白い漫画です。ただ、私は最初から狂気を自分で煮詰めたキャラのほうが好きなので、この漫画との折り合いが悪いのです。
id:complex_catさん
修羅の門』は昔から理の部分がおかしい漫画でした(情報源とかどうしているのか)。基本的にあの漫画は視覚的な派手さとキャラの毀誉が露骨ですが、それが漫画としては破綻しない事につながっているフシがあります。実は『修羅の門』は『キャプテン翼』の分野に類する漫画なのです。
id:hokuto-heiさん
ツマヌダ格闘街』は、現実の技術に範をとっている都合上、現実と違う描写や理解があると他の漫画より気になってしまうという弊害がある漫画です。普通は戦わない武術同士が試合を行うというのは思考実験として面白い一方、どうしても各流派への理解度(作中キャラの、そして作者の)がキャラの戦術に影響してしまいます。読者が作中キャラの立場からより良い戦術を考えてしまうこともあり、それがこの漫画の難しいところでしょう。