誰が読むのか分からない火薬と鋼の2012年ボツネタ2つ

2012年ボツ王決定戦!フルタ製菓×はてなブログお題キャンペーンということで没記事を投稿してみる。自分の場合、ボツネタは書きかけで終わっているものしかない。これは書いていて資料不足だとか受けが悪いとか途中で気づいて書くのを止めたためだ。

没エントリその1「社会人なら知っておきたいククリ技術」

ククリ、あるいはグルカナイフと呼ばれる大型の湾曲したナイフは、その特徴的なシルエットやグルカ兵の伝説的な強さとあいまってマンガなどにも登場している。その一方で、このナイフの用法についての知識が広まっているとは言いがたい。
そこで、今回はククリの戦闘技術について解説しよう。来年社会人になる学生は、そろそろ自分のククリくらい買う時期だろう。

ククリとは?

呼び方が複数あって紛らわしいし、中には知らない人もいるだろうからナイフそのものも簡単に説明する。
ククリはネパールおよぼインドの一部で使われるナイフで、道具、儀式用や軍用などで使われる。特にイギリス軍にはネパールの山岳民族からなるグルカ旅団(Royal Gurkha Rifles)があり、その兵士であるグルカ兵が使うことがよく知られている。
このグルカ兵(wikipedia:グルカ兵)は精強で知られており、ククリのイメージや普及にもつながっているふしがある。
日本ではインド軍のククリ(http://www.ohyasuya.co.jp/factorybrands/miscella/kukuri.htm)やイギリス軍のククリがよく市販されている。また、欧米のナイフファクトリー、ナイフメーカーでククリを真似て製造している例も多い。
下の写真は私が持っているククリとククリのトレーニングナイフ。

Wikipediaにも簡単ではあるが項目がある:wikipedia:ククリ
現在のネパール・インドのククリは、自動車の板バネ(炭素鋼)でできている。刃の厚さがかなりある。一般的な軍用ナイフの刃の厚さは5〜6mmだが、ククリは8〜9mm。また、ハマグリ刃というか、膨らんだ断面の刃をしている。ハンドルは木製か水牛の角製であることが多い。

戦闘技術

ククリの「く」の字に曲がったブレードは、かなり特徴的な効果をもたらす。
まず普通に切ろうとすると、先端が当たれば突きに近い刺さり方となって深く食いこむ。ブレードのふくらんだ部分が当たれば斧か鉈のような打撃に近い切り込みとなる。カーブの内側に当たれば巻き込むように刃が当たっていく。

…ここで書くのが面倒になって没にした。何せ映像資料が極端に少ない上に文字で説明して分かるようなものではない。
一から図を描くのも厄介だ。第一、洋書を読めば分かる程度の知識である。あまり書く必要がなかった。

没ネタその2「図書館での格闘技・武術資料の探し方」

図書館での格闘技・武術資料の探し方でも書いてみよう。
一般に図書館で格闘技・武術に関する資料を探す場合、大抵の人は蔵書検索でキーワードを入力して検索することが多いだろう。書架で実際に検索した本の周辺を見る人もいるかもしれない。今の図書館の検索システムは結構便利になっているので、そうそう不便はないが留意すべき点はある。

分類

図書館の本はだいたい日本十進分類(NDC)と呼ばれる分類に沿って分類され、ラベルが貼られて並んでいる。格闘技・武術の分類についてのポイントは次の通り。周辺にある馬術などの分類は今回除いて紹介している。
(1) 競技化が進んだ格闘技は「788 相撲. 拳闘. 競馬」に
競技化が早くから進んだ格闘技は788以下に分類がある。


788.1 相撲
788.2 レスリン
788.3 ボクシング


以上の三つだ。ここで注意。レスリングにはプロレスが入り、ボクシングにはキックボクシングが入る。
(2) 武道・武術は「789 武術」
格闘技全般、または伝統的な武術武道は789以下に分類される。
788の例で見て分かるように、図書館の分類では格闘技を結構無理やりまとめている。その反面、日本の伝統的な武術は細かく分けているものもある。


789.2 柔道. サンボ  
789.23 空手道. 拳法  
789.25 合気道  
789.27 太極拳[気功]  
789.3 剣道  
789.37 銃剣道  
789.39 フェンシング  
789.4 槍術  
789.43 棒術  
789.45 薙刀術  
789.5 弓道. 弓矢. 楊弓  
789.8 忍術  
789.9 護身術


このように空手も中国拳法も同じ分類だが、太極拳だけ別扱いという、何というか一般人のイメージを反映した分類になっている。ちなみに古流柔術は柔道と同じ扱いだが、ブラジリアン柔術は柔道と同じ「789.2」になることもあれば、格闘技として「789」と分類がつけられることもある。そして古流剣術は剣道と同じ扱いだ。


では総合格闘技はどこに分類されるのか。これも図書館で扱いが分かれる。国会図書館総合格闘技と788を関連づけていることから788となっていることもあれば、格闘技ということで789となっている図書館もある。


…ここまで書いて、この話の需要が怪しくなってきたのでボツにした。
本来であれば「軍隊格闘技は格闘技に分類されることもあれば軍事に分類されることもある」「昔の兵法家・剣豪については日本史や伝記に分類されるものがある」「間違った分類や件名がつく例」「日本の武術を探る上での古い史料や郷土資料の探し方」といった話を書く予定だった。
しかし書いていて思ったのだが、分からないことはその図書館の司書に聞けばいいのである。司書向けにこの種の資料の扱いの注意点を書いたほうがまだ良かったかもしれない。