試験に出ない実戦英語フレーズ(2) “mall ninja”

前回から久々の更新。
第2回は“mall ninja”について書いてみよう。


これは2000年代に広まったネットスラングであり、フォーラムやSNSで使われる。
軍用の銃器や軍用品を好んで持っている民間人を指す表現だが、状況によっていくつかのニュアンスが入り混じっている。曖昧で扱いが難しい言葉と言っていいだろう。


この表現は自警団、サバイバリスト、アメリカ的な男性らしさといったものを尊ぶ文化層と関連している。単にファッションとしてカーゴパンツを着用している日本人と異なり、“mall ninja”に該当するような人は民間人が軍事能力を持つことを望んでいるのだ。こうした人々を意味する同様の表現として"gunshop commando"という言葉も存在する。


具体例を挙げると以下のような傾向がある。
・ARタイプのライフルのように軍用銃か軍用銃に近いデザインの銃を持っている。とにかく銃はピカティニー・レールつき。
・拳銃はグロックのような軍・警察用の銃。持ち歩くことも多い。
・銃関連用品(スコープやホルスターやマガジンポウチなど)も持っている。
・フラッシュライトやタクティカルナイフ、マルチツールを持ち歩く。
・軍用のナイロン・ギア(タクティカルベストやパック、ベルト等)を好む。
・タクティカルウェア、BDUなど軍用の戦闘服を好んで着る。
・警棒、タクティカルペンなどの護身用武器を好んで持ち歩く。
・腕時計は軍採用のものやダイバーウォッチ、G-Shockを好む。
・実戦経験や従軍経験はない。


mall ninjaは、実際に軍に従事した経験がない人物が趣味として軍用の銃器や装備、戦闘服を好んでいる場合に使うこともある。これは特に否定的な意味を持たないが、そうした個人の軍用銃や軍装への傾倒に対して軽蔑的にmall ninjaという表現を使うこともある。否定的な用法では、銃や装備品の外見・イメージの強さを求め、現実離れしたヒーロー幻想を持つ人間に対して使うことが多い。例えばナイフのフォーラムで実用的ではないデザインのナイフを持ち歩いている人に対してkind of mall ninjaと呼ぶようなことがある。
ショッピングモール(mall)に忍者(よくある忍者装束の)がいるところをイメージを考えてもらえば、その状況にそぐわない感じは分かるだろう。


この言葉に本来の忍者のイメージが加わり、日本刀などの東洋の武器を好んで持つとか、忍術を学んでいるとかいった人間のことを指す場合もある。
いずれにせよ、肯定的な用法も否定的な用法もあるので文脈に注意する必要がある。