武術の一般受けとイメージ

先日紹介した林崎新夢想流居合の動画 - 火薬と鋼の動画が武術に関わりの薄い人にも反応が出ている。あれは一般受けすると思っていた。
一般で話題になる居合の動画・映像というと黒田鉄山氏か町井勲氏あたりで、他の人や流派が話題になる機会は少ない。しかし特定の優れた個人が披露する技術としてよりも練習して凄い技術が身に付けられるというものとして各地の様々な武術が認識されてほしいものだ。


どうも武術、特に古流というのは、家伝というイメージが強いせいか、他の趣味のように習いに行くものとしてあまり認識されていない*1。例えばネット小説投稿サイトの小説では、武術を学んだキャラクターは大抵父親や祖父から学んでいる。まあ、これはイメージだけが原因ではなくネタとしての扱いやすさというのもあるだろう。
しかしフィクションの中のイメージも結構重要だ。
映画・TVドラマの中に登場する図書館や図書館員のイメージについて論考をまとめた伊藤敏明氏は次のように書いている。

それにしても映画の中の図書館員像というのは まことに惨憺たるものである。こうしたイメージ の普及は、現職の図書館員や将来図書館員になろうとする若者の思考や行動に決して良い影響があるとは思われず、イメージチェンジのためのパブリシティーの展開が必要ではないかと思われる。
}‘ŠÙ‰f‰æ˜_l@‰f‘œ•\Œ»‚É‚¨‚¯‚é}‘ŠÙ‚Ɛ}‘ŠÙˆõ‘œ‚ÉŠÖ‚·‚é˜_l

武術の場合、フィクションの中でそれほどネガティブなイメージはないが、ひたすらスパルタなフィジカル面の稽古をさせる師匠ばかりだったり、習う人間が血縁者ばかりだったりというのは、練習者をある程度集めようとする場合にあまりプラスにならないのではないだろうか。フィクションに働きかけるというのも現実的ではないので、実際の武術の関係者や団体が行うプロモーションで別なイメージを広げるしかないのだろう。とは言え練習体系や指導者の都合であまり大人数に来てほしくない、という例もあるので、宣伝のバランスは難しい。


武術の動画は身内向けになりがちだが、一般の人のイメージを変えるような実際を反映したもの、人目を引く面白さがあるものがあれば理想的だ。今回話題になった修武堂の方の動画はその例と言える。


そう言えば以前Twitterで話題になったチェコ合気道団体のプロモーション・ムービーは最初からショートムービーとして作られている分うまく見せている。こういう側面を出すことを嫌がる人もいるかもしれないが。



自分に関わる話をすると、システマの動画で一般によく見られている動画は他のシステマ(ロシアにはシステマと名前のつく軍と関わりのある格闘技が複数ある)と混ざっていて、あれはどうにかならないのかなと思う。「動画を見て来た」という体験希望者がよくいるのだが、誤解して来た人もいるのではないかといつも気になっている。

*1:単純に現存すると思われていないこともある