日本刀の両手持ちと漫画『BLEACH』

Twitterでの日本刀の片手持ち/両手持ちに関する話題(パターン化しているのでFAQとか誰か作ったほうがいいのではないかとさえ思える)で思い出した漫画の話を書く。
昨年、二刀流に関する話題について - 火薬と鋼で少しだけ紹介した話だ。
ちゃんと引用して紹介しようと思っていてすっかり忘れていた。
週刊少年ジャンプ連載の久保帯人BLEACH』には、それまでずっと片手持ちで戦ってきた登場人物が両手持ちにすることで劇的に強くなるという場面がある。


「知ってるか? 剣ってのは片手で振るより両手で振った方が強えェんだとよ」
「…あァ? …何言ってやがるんだてめえ?」
「そんなもん…」「分かり切ってんだろうが!!!」
「…分かりきっちゃいねえさ…」

この話がジャンプに掲載されたのは2008年2月26日、単行本は同年に発行されている。
未読の人のために説明すると、この登場人物達は人間ではなく、使っている刀剣も日本刀に近い形状をしていても現実の日本刀とは違う。
このストーリーでは、登場人物の更木剣八(ざらき・けんぱち)は強敵であるノイトラに対し、容易に勝てずにやや危うい状況になっている。
そこで剣八は過去に学ばされて性に合わなかった「剣道」をやると言って両手持ちにするというのが引用したページまでの展開だ。
なぜこの設定で剣道なのかという点は不可解だが(剣八に剣道を教えたキャラクターは千年以上現役で元流という流派の開祖という設定がある)、ともかくこの後両手持ちになったことで剣八の剣は圧倒的な威力を示して相手に勝つ。
この場面はTVアニメ版202話でも登場しており、漫画と合わせて「刀は片手持ちより両手持ちが強い」という先入観を多くの人に広めた可能性がある。
「両手持ち>片手持ち」の認識が先行して漠然と広まっていて、漫画はそれを元にして改めて強調して広めたとも考えられる。