ナイフの「ミッドテックmid-tech」とは

Twitterで書いた件についてこちらに整理しておく。

ナイフは製造の面から企業が量産するファクトリーナイフ、個人かそれに近い少人数の工房が作るカスタムナイフに分かれる。
この区分には細かく言うと曖昧なところもあり、ミッドテック(mid-tech)も曖昧なものの一つと言える。
mid-techは、カスタムナイフメーカーKen Onionが作ったファクトリーナイフとカスタムナイフの中間にあるナイフを差す言葉だ。
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Ken Onionは、ナイフ製造の途中の段階を手作業ではなく機械加工に切り替え、メーカーが手作業で仕上げを行ったナイフのことをこう呼んだ。
この場合の機械加工はCNC加工が多く、あるいはメーカー当人が作業せず外部委託するものだ。
様々なログを見ると、遅くとも2001年2月にはこの言葉が使われている。
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(これ以前から使われている可能性もある)
最初のmid-techナイフはKen OnionのBoaだ。

http://www.kenonionknives.com/images/midtechboa1.jpg

Speed Safeというアシストオープン機構を備えたフォルダーで、背景にはKen Onionのカスタムナイフが入手困難だったことがある。
mid-techにより量産し、入手しやすいモデルを作ったというわけだ。
2000年代初頭、mid-techという言葉は急速に浸透し、多くのカスタムナイフメーカーが自らのカスタムナイフの量産モデルをmid-techと呼ぶようになった。

このmid-techについてナイフ愛好家には色々な反応があった。
多くは入手しやすくなった事を喜ぶものだったが、ハンドメイドこそカスタムナイフという人には不評だった。
またmid-techと言ってもどこまでメーカー自身が製造に関与しているか人によって違う・あるいは分からないため、その言葉の定義の曖昧さも問題になった。
mid-techは基本的にナイフの一ジャンルとして定着しているが、カスタムナイフメーカー監修によるカスタムナイフの量産品で一般的なファクトリーナイフより高級なハイエンドナイフくらいの漠然とした言葉として広まったために定義や評価について議論されることが今でもある。