永青文庫 「秘蔵!重要文化財「長谷雄草紙」全巻公開 ―永青文庫の絵巻コレクション―」

公式サイト:永青文庫美術館

永青文庫の「秘蔵!重要文化財「長谷雄草紙」全巻公開 ―永青文庫の絵巻コレクション―」に行ってきた。
永青文庫所蔵の「長谷雄草紙」、「蒙古襲来絵詞」、「秋夜長物語絵巻」など絵巻、絵本を中心に展示している展覧会だ。
「長谷雄草紙」は紀長谷雄が鬼と賭けをして人造人間の女を手に入れる伝奇的な話の絵巻で、一度実物を見たいと思っていたものだ。
鬼との勝負や女との場面はよく紹介されているが、全巻展示で見ると鬼との勝負に赴くまでの市井の様子とか、最後の牛車を取り巻く人々の様子とか、細かな描写が生き生きとしていて素晴らしい。
蒙古襲来絵詞」は江戸時代の摸本だが、宮内庁三の丸尚蔵館蔵の原本より新しい分色鮮やかで細部まで詳しく見ることができる。
例えば元軍の皮膚の色や容貌の特徴、装備の違いで多民族連合軍であることが判るようになっている。
また、今回見たかった「十二類絵巻」も期待していた場面を見ることができた。
「十二類絵巻」は、十二支にならなかった鳥獣が十二支の鳥獣と戦う絵巻だが、中世の武具がよく描かれていて珍しい手楯も登場している。
今回の展示にはその手楯が登場する部分が出ていた。
今回予備知識なしで面白かったのは「いはや物語」だ。
話では海人(あま)が登場する場面なのに絵師が間違えて尼を描いてしまっている。
こういう間違いが明らかな絵巻を見る機会はそうそうないだろう。




いつもなから人の多い細川庭園は雨で人が少なかった。
ガマの穂が揺れていた。