1911A2の詳細(1) 導入

 先に米陸軍テスト用拳銃"1911A2"で紹介した1911A2を扱った雑誌Tactical Weapons 2007年9月号がようやく届いた(雑誌の記事を書いたのは、先に紹介したLTWのフォーラムに写真を投稿したRob Garretである)。間違った号が届いたりなかなか出版社と連絡がつかなかったりで遅くなってしまったが、日本ではあまり知ることのできない情報があるので順次紹介していきたい。全訳は問題があるので、個人的に興味があるポイントに絞って紹介することとする。ここで考慮すべきことは、「なぜ1911なのか」ではなく「どのような1911なのか」ということだ。「なぜ1911か」という問いは過去の事例(例えばMEU(SOC)ピストル等)でとうに議論が尽くされており、ポジティブな意見もネガティブな意見も過去繰り返されたものに過ぎない。しかし「どのような1911なのか」というのは、その特徴を採用する意図も含めておおいに議論の余地がある。話の種として「どのような」を知るほうがマニアにとっておいしいと思うのだ。


 本題に入ろう。記事によれば、AMU(Army Marksmanship Unit)は2004年後半に新世代の1911の開発を始めたとされている。著者は、この計画のデザインからテストまで独占的にアクセスを得ていたという。
 このプロジェクトは、ライトレール付きの炭素鋼のキャスピアンのフレームと剥き出しのキャスピアンのスライドから始まった。フレームには「Model 1911 A2 U.S. Army」と「USPT」(U.S. Prototypeの略)から始まるシリアルナンバーが刻印されていた。スライド左側面には「United States Property」と刻印され、両側面のコッキングセレーションの後ろに円で囲まれた「U.S.」が刻印された。目標は、様々な構成のテストベッドとなる最小7つのバリエーションを生み出すこと。この構成には各種のサイト、エキストラクター(インターナル、エクスターナル)、メインスプリングハウジング(アーチ、フラット)、マガジンウェル(インテグラル、アドオン)、各種オプションといったものが含まれている。また、テストされた表面処理にはBlack T、KG Gun Coat、Bear Coat、Robar's Roguard、NP3、ION Bondといったものが含まれている。


 次回は、1911A2の構成のより具体的な内容を紹介する。
>>1911A2の詳細(2) パーツ構成