「要は、勇気がないんでしょ?」で始まる同人誌の値切り

同人誌を値切らないで!から同人誌の値切りに対して議論が沸きあがっている。「同人+値切り」でぐるると色々なブログのエントリがひっかかるようになった。私は10年以上色々なイベントに一般、サークル両方で参加したけど値引きしたこともしたいと思ったこともないな。値段を買い手にまかせる、というサークルに遭遇したことは数回あるが。まあ、その辺の話は置いといて。
 要は、勇気がないんでしょ? - Attribute=51を元に改変ネタを思いついた。


ちょっと昔の話。今よりも僕はずっとずっと言い訳をするのが好きで、理屈を説明するのが好きだったんです。
でまぁ、当時も今と変わらず同人誌を買う金がなくて、
男友達と飲みながら「金がない、だから同人誌買えないんだ」と文句言ってたのです。
東京国際展示場東館で。


したらまた、この友達が「じゃあ、わかった」と言うのです。「今から値切り交渉に行こう」と。
値切り交渉なんかやったことないオレは焦りました。「いや、ちょっと待って」とあわてます。
でも友達は、少し遠くで並んでいる壁サークルの列を指さし、「あそこ行って値切りやろうぜ」と言い、席を立ちます。
オレは「いや、向こうも迷惑だし」とか「さすがにうざいっしょ」とか言って止めます。
友達は「嫌がられたら戻ってくればいいんだよ」と言ってましたが、オレが動こうとしないので行くのをやめました。


「じゃあ、秋葉原行って、とらやメロンで値切りできるか交渉するか?」と友達は言います。
「逆にそっちの方が難易度高いだろ」とオレは顔をしかめます。
「でも金がないんだろ? だったら値切り交渉しかないだろ」
「そうだけど、もっと普通に参加者したいっていうか」とオレ。
「なに、普通って?」
「一般参加者とか、サークル参加者とか、そういう…」とハッキリ言えない自分。
「じゃあ、オレが今からサークル手伝ってきて、それでお前に同人誌を値引きしたらいいか? それも参加者だよな」
「それは…、だけど、ほら、お前もこの前言ってたじゃん。値切りしてくれる同人って弱小サークルが多いとか」
「は?」
「その…」
「…弱小サークルじゃねぇよ。ノリが良いサークルだよ」
「あ、そうだったね。…でもオレ、ノリの良いサークル、少し苦手だし。そこまでして同人誌が欲しいってわけでもないし…」


友達はオレの顔をじっと見つめながら、一言、
「だせぇ」
と言いました。


ごちゃごちゃ言ってるけど、勇気がないだけじゃん


彼は言います。
言い訳をして、さも「こういう事情なんだ、だからしょうがないんだ」って言うけれど、
勇気がない自分を必死になって正当化してるだけじゃん、と。
値切りする勇気もないやつが、同人誌が買えないとか言うんじゃない。


どうせ西館に行けば「同人ゲーは後で委託が出るし…」って言うし、
オンリーイベントにつれていけば「ああいう場のノリは苦手だし、参加サークルが少ない」とか言うだろうし、
サンクリの同人誌を狙えって言えば「いや、会場が狭くて移動が大変だし」って何かにつけて言い訳するんだろ?
だったら「自分には値切り交渉する勇気がないんです」って素直に認めて文句言うんじゃねぇよ。
そっちの方が、よっぽど何かってときに力になりたいってと思うし、
つーか、できない理由並べて、今の自分を否定させずに、わかってもらおうとするその魂胆がだせぇ、と。


あれは恥ずかしかったなー。すげぇ。恥ずかしかった。
その場は言い訳もできず笑ってごまかしたけど、家に帰ったら彼の顔とセリフが思い浮かんで、
布団の中で「でもさ、でもさ」と必死に言い訳考えてた。
オレにはオレの事情があるんだ、しょうがねぇじゃんかよって。Sound Horizon聞きながら(笑)


ひとしきり考えたら、そんな自分を「だせぇ」って思った。