そんな雑誌にもトンデモ健康法

 最近親の関係で「致知」という雑誌のバックナンバーが回ってきた。一種の購読勧誘である。
 親も私も購読はしないが、ブログのネタにはする。
 雑誌の内容は、安岡正篤系の流れを汲み、渡部昇一に代表されるガチガチの保守の経営者、政治家、著名人等が道徳、教訓や体験談を語るというものである。歴史修正主義あり、経営者の説教ありで、PHP研究所と同じ芸風だ(執筆者もかぶっている)。
 その他にも『水からの伝言』や七田眞を推奨したことで悪名高いTOSSの向山洋一による記事が掲載されたり、ID論インテリジェント・デザイン論)にはまってしまった村上和雄による記事があったり、色々とニセ科学とつながりのある人の記事もある。しかし気になったのはそれだけではない。
 この雑誌に「大自然と体心」という健康のための連載記事がある。毎号違う人が執筆しているのだが、この面子が凄い。試しに3人ほど紹介してみよう。紹介は私によるもので、肩書きは雑誌公式サイトに掲載されたものをそのまま使用した。


・鶴田光敏(つるた小児科院長)
著書に「来世をどう生きるか―新しい生きがいの発見」「抗酸化飲料で超健康体になる─究極の健康飲料「超波動水」の驚異」など。これだけでどういう人か分かると思う。
森下敬一(国際自然医学会会長)
肉・卵・乳製品を摂らない健康法を広めた人の一人。牛乳害毒論とか、色々と疑似科学的な健康関係のネタを広めた。他に2008-02-28といった業績(笑)もある。
本橋登(薬学博士・元明治薬科大学教授)
特定の野菜や果物の効用を過大に盛り上げるフードファディズムな人。日テレ「おもいッきりイイ!!テレビ」で朝バナナダイエットの回に登場した人である。


 この他にもマスコミ受けのするトンデモ健康法の執筆者が多い。東洋医学の信奉者が多く、お手軽に健康になれると著書やテレビで訴えるが目立つ。書店に置かれない上にマイナーな雑誌なのでここから広まるということはないだろうが、保守派といかがわしい健康法とのつながり、人脈や嗜好が可視化されているようで面白い。左派系にも好意的に受け入れられているトンデモ健康法も結構あるが、ガチガチの保守の雑誌で扱われているとまた違った味わいがある。みんな東洋とか伝統とか食品の薬効に良いものを期待しすぎだ。