ジェームズ・ウィリアムズのナイフDVDレビュー

ジェームズ・ウィリアムズのナイフ格闘教範DVDを3つ買ったので、簡単な紹介と感想を書く。ジェームズについては、ナイフ好きの人はコロンビア・リバー・ナイフ&ツール(CRKT)の短刀型ナイフ"Hissatsu"のデザイナーとして知っているだろうし、武術や近接戦闘、射撃技術のインストラクターとして知っている人もいるだろう。
今回のDVDは、いずれもCRKTのHissatsuやその派生モデルを使う想定で指導しているDVDだ。文章だけでは分かりにくいので、DVDの予告や抜粋の動画をつけておく。

3本のDVDとCRKT Hissatsuトレーナー

System of Strategy: Edged Weapons Use for Combat


2008年に出たDVDで、価格$39.00(値引き前は$45.00)で約28分というコストパフォーマンスに難のあるDVD。
内容は、HissatsuとHissatsuフォルダーの紹介、ナイフの形状や人体の構造を生かした攻撃のコツ、ナイフの握り方のバリエーション、実戦用法といったもの。ナイフで実際に切られた人体の画像が登場するので、そういう画像に耐性がない人には勧められない。
ナイフの形状を生かした操作の解説は、ある程度はHissatsuというナイフでしか通用しない部分もあるが、興味深い。
このDVDのポイントは、特に特殊部隊が部屋に突入する際に使う技法が紹介されているところだ。
相手に銃をつかまれた際にナイフで処理する、同様の状況に陥った味方をカバーする、ナイフを持つ腕をつかんできた敵への対処、ナイフを使っての制圧技法といった実戦的な技術が登場する。軍の特殊部隊や警察のSWATが対テロ任務・突入作戦・クリアリング等で使うナイフ術を知りたい人にお勧めの内容だ。

Make Ready with James Williams: The Edged Weapon


Panteao Productionsが2013年に出したDVDの一つ。価格$44.99で約2時間と、先のDVDよりコスパがいいように思えるが、実は半分以上の時間はデモンストレーションではなく口頭での説明である。日本人でも聞き取りやすい英語だが、技術の映像を求めている人はちょっと肩透かしをくうだろう。
多くは日本の武術の身体操作や考え方に基づいたナイフ格闘の説明で、戦略や呼吸法、動き方といった内容を含んでいる。
デモンストレーションは、上の動画にあるように相手の攻撃をかわす動作がそのまま攻撃につながるものが多い。『System of Strategy: Edged Weapons Use for Combat』と異なり、一対一での練習としての技であり、実戦での応用をデモで見せていることはない。
基礎的な内容だが、技術的には高度なものを含んでいて練習するのは難しい内容と言える。

Make Ready with James Williams: Continuing Solutions to Edged Weapons


『Make Ready with James Williams: The Edged Weapon』の続編として2013年に発売されたDVD。価格$44.99で約1時間30分。前作より時間は短くなったが、今回は口頭で説明しているだけの部分は短い。このDVDの内容を簡単に言うと、護身術としてのナイフ・対ナイフ格闘である。
技術的な話は、各種サイズのナイフ(CRKTのHissatsuとその派生モデルSakimoriからHisshouまで)の収納、抜き出しについての話から始まる。特にコンシールド・キャリー…それもカジュアルな服装で隠し持っての運用の話が多く、ナイフをどう装備し、どう抜くかという点に興味がある人にお勧め。
今回のナイフ術は、腹部への刺突、斬撃へのカウンター、上段の斬撃へのカウンター、上から下への刺突に対するカウンターといったもので、いずれもトラッピングとは違う相手の攻撃のさばき・コントロールが見られる。
また、今回は素手でナイフに対処するパターンのチャプターも複数ある。
相手が自分の腕を掴んで胴を刺してきた際の対処、首にナイフを当てられている際の対処、ナイフ捕り、馬乗りになってナイフで突こうとしている相手への対処、背中にナイフを当てられている際の対処といったものだ。
兵士向けのテクニックを期待する人にはあまりお勧めできないが、ここで紹介したような技に興味がある人にはお勧めできる。