技術や文化的側面以外を強調している武術道場

スイミングスクールに子供を通わせている親が、本当に望んでいることは「水泳の上達」じゃない – マーケティングコンサルタント藤村正宏ブログの記事で思い出したのだが、近隣でもかなり賑わっている空手団体は、武術や武術の伝統よりも健康と礼儀作法を売りにしていて、Webサイトの説明でもそれが上位にある。
空手道場は特に児童に行儀を教える場として地域に認知されていることがあって、その辺をうまく活かしたPRになっているのだと思う。
その団体では「護身術教室」の名目でやっているクラスの告知でも礼儀や健康を優先して宣伝している。そのクラスについてWebサイトの内容紹介を見ると、そのほとんどは礼儀と健康に割かれている。護身術についての説明はページの最後でスクロールしなければ読めない。
私からするとそれでは名前と宣伝が合わないように思えるのだが、それで賑わっているのだから、広告としてはうまくいっているのではないだろうか。そこの団体の親子対象の護身術を目的としたクラスを見学する機会があったのだが、小さな子供に挨拶や態度など丁寧に教えていて、いわゆる護身術という言葉から受ける印象とは少し異なる内容だった。
しかしこの手法、他で真似できるかというと、難しいだろう。武術・武道・格闘技の団体や道場で、その技術や技術に関わる伝統・伝承を前面に押し出さずに宣伝できるだろうか。指導者の割り切りや目的意識、地域の練習希望者の認識がこの手法に合わなければ成立しそうにない。