体調悪いので家で大人しくしている。
特にやることがないので昨日のネット小説の最近の武術の描写で気になったことの時に書かなかったことを書いておく。
- 海法紀光氏による「小説家になろう」系の異世界チート物についての解説 - Togetterと関連する話。
- ネット小説には「戦いをハックする」とでも言うべき内容がかなり含まれている。
- 既存の戦法・戦術に合わせるのではなく主人公だけが知っている手段によって戦いに勝つような話だ。
- 楽をして勝つ例もあるが、主人公しか思いつかないような苦痛に満ちた手段を選ぶということもある。
- そうした内容は戦争を扱った話にもあるが、ここでは武術で想定しているような一対一、あるいは少人数の戦いの話である。
- 独自の知識・発想・技術によって強敵に勝つというのは格闘技マンガでもよくある話なので、ネット小説固有の話ではない。
- しかしネット小説では多数の作品が公開されているので、以前より多くの例を読めるようになった。
- 一つの類型が「戦いをハックする武術」とでも言うべきものだ。
- 主人公だけが学んだ格闘技・武術によって戦いで圧倒的に有利になるパターンだ。
- 例えば武術がない異世界で主人公は武術経験で戦闘に勝てるといった話である。こうしたパターンは結構多い。
- よくある例では主人公は武術を伝える家の出身であり、平和な現代日本では活かせなかった武術を特殊な状況で活用することになる。
- このパターンは極端なことを言えば進研ゼミの漫画の後半の展開と同じである。
- 「あ、これ〜流でやったことだ!」とは言わないが。
- 多数の武術をマスターした主人公というよくあるキャラ設定も、才能やセンスを示すというより「前もって勉強してきた」というのと近い。
- このため数多くの技を知っている技のコレクターとでも言うべきタイプが強いことがある。
- 現実だと数多くの流派の技を知っている=それだけ数多く使いこなせる、というわけではないが、創作だとその辺は状況に応じて自在に使いこなせることにできるわけだ。
- 小説で「実戦的な武術」とされるものはこうした戦いをハックする技術や知識があるものとして扱われる。
- このパターンは後出しで使える技を増やすことも可能だが(『魁!男塾』を思い出そう)、全体としての整合性・一貫性がなくなることがある。
- もう一つの類型は「ハックされる武術」とでも言うべきものだ。
- 格闘技・武術を学んだ側がその戦い方の隙を突かれて負けるパターンだ。
- これは主人公の敵、ライバルによく発生する。普通の戦い方では強いが主人公の奇策や発想に負けるという話が多い。
- この場合、武術というのは想定した状況でだけ強いものとして扱われる。
- 先に挙げた「実戦的な武術」と対比されることもあり、「戦いをハックする武術」と「ハックされる武術」が対立するものとして登場することがある。
- 「ハックされる武術」に登場する武術者の弱点・欠陥は、現実の武術に対する知識・先入観、ときには誤解が出ていることがある。
- 例えば二刀流は片手持ちだから一方の刀だけで受けるように攻撃すれば弱い、とかある。
- このパターンは作者の発想力が乏しいと早々に連載が止まる。