宇宙人の赤ちゃんを殺した男は報復されたか

宇宙から報復か、宇宙人の赤ちゃんを殺害したとされる男が謎の死を遂げる - GIGAZINE
こんなニュースがあった。
こういう時のGIGAZINEは、ウィークリーワールドニュースなみに信用がおけない。


私は、この記事の元となったニュースを別に読んだことがある。
http://forum.gorillamask.net/showthread.php?t=20138
タイトルを見ての通り、ここではチュパキャブラ扱いされている。
このニュースにまつわる情報も少し知っているので、懐疑的な視点から紹介してみよう。


もともとはメキシコのUFO研究家Jaime Maussanからの報告が全ての発端である。
Jaime Maussanは、メキシコのメテペックでMarao Lopezという農夫が謎の生物を罠で捕まえたこと、後日Lopezがその生物を殺したこと、Lopezがその後不自然な焼死体として発見されたこと等を報じた。
また、Jaime MaussanはLopezの未亡人からこの生物の死体をもらいうけ、検査したと報告している。
地元大学や科学者の調査の結果、未知の生物であり、非常に知的な生物であることが明らかになった――というのが大元の報告である。
発見場所からメテペック・クリーチャーと呼ばれ、宇宙人の子どもだとかチュパキャブラであるとか様々に取り沙汰された。


日本では2008年12月30日のTV番組「ビートたけしの禁断のスクープ大暴露!!超常現象マル秘Xファイル」でメテペック・モンスターとして紹介されている。
なお、この番組では発見者は鳥類研究所の所長マリオ・ロペスと助手アンヘルパラシオス・ヌニェスになっていた。
研究所の鳥を殺すネズミを捕まえようとして謎の生物を捕まえたのだという。
その後、研究所は破壊され、所長は何者かに銃殺されたことになっている。
話が色々と違うぞ!


この辺でGIGAZINEのニュースの怪しさがお分かりになったと思う。
もともと謎の生物の死体についての報告と、発見者の死は同時に報告されたのである。
全ての情報はJaime Maussanという人物から発されたものだ。
UFOマニアなら知っている人も多いが、このJaime MaussanはUFO関連のでっちあげでは有名な男だ。
当然、懐疑的な人間からの意見も出ている。
forgetomori » The Screamin’ Demon of Mexico: Monkey Business
そこでは謎の生物の死体はリスザルあるいはタマリンという猿を加工したものと推測されている。
それぞれの骨格の写真が上記ブログで紹介されているので謎の生物の写真と比較してみると面白い。
更に元報告を疑わせる情報もある。
Jaime Maussanの報告ではDr. Jose Antonio Lorenteが謎の生物のDNA解析を行ったということになっているが、Lorente本人はMaussanについて聞いたこともなく、何か送られたこともないと否定しているのだ。


History Channelの番組MonsterQuestでもこの生物が紹介されたことがある。
番組では皮膚が傷つけられていないとか、未知のDNAであるとかいったことが説明されていた。
そのため海外のビリーバーにはいまだにこの生物が未知の存在であると信じている人がいる。
しかしこれまで経緯と番組内容のおかしさから、下記のブログのように疑う人もいる。
http://theydontseethroughus.blogspot.com/2009/07/our-moneky-goblin-on-monsterquest.html
番組では発見者に関する情報は紹介されず、分析した組織の情報の公開もされていないこと、手袋なしでサンプルに触れていることなど不自然な点があると指摘されている。


各種情報から考えるに、報告者であるJaime Maussanによるでっち上げと考えるのが自然だろう(テレビは共犯者だ)。
謎の死を遂げたというMarao Lopezが実在するのかどうかも怪しい。
高度な知性を持つ生物が罠に捕まったり、子ども(または仲間?)を全裸で放置して取り返すことができず、発見者への報復だけは未知の手段で実行するなんて、ツッコミどころが多い。