ナイフ格闘とトレーニングナイフ

今回はナイフマニアにもほとんど知られていないトレーニングナイフについて説明する。
ナイフファイティングを学ぶ場合、漫画などでは本物のナイフを対人練習に使っていることがあるが、現実にはそういう事はまずない。トレーニングナイフと呼ばれる練習用のナイフを使うのが一般的だ。
レーニングナイフの例

レーニングナイフは、素材や作り手によって特徴づけられる。

素材

レーニングナイフを素材で分けると木製、樹脂製、金属製といったものが挙げられる。
木製のものには、ナイフ状に削ったもの、あるいは木刀状の短刀型がある。木刀状のものは日本の武道でよく使われている。ナイフ状のものは海外の製品に何種類かあるが、最近は他の素材に押されている。
樹脂製(ゴム、プラスチック)のものはCOLD STEEL社が製造販売しているものが日本では一般的だ。安物は剛性が低く、軽すぎることもあって練習には使えない。海外ではポリカーボネード製やG-10製のものなど強度のある素材で作られたものもある。当たった際の安全性の高さが最大の長所だ。
金属製トレーニングナイフのうち、最も多く使われているのはアルミ製のものだ。日本でも海外でもナイフ格闘を学ぶ人の多くはアルミ製のものを使っている。その最大の理由は、適度な強度と重さがあり、攻守どちらでも本物のナイフに近い技法が使えること。特に上の画像の左側2本のようにナイフに近い刃付けをすることで刃筋を立てる・刃筋をそらすといった感覚を養うことにも寄与している。
金属製のものには鉄製のトレーニングナイフもある。しかし硬く重いため、受け手に当たった際に危険がある。上の写真のうち一番右の黒いナイフは鉄製で、重さを軽減するため多くの穴が開けられている。
素材が何であれ、トレーニングナイフでは当たった箇所を厳密に判定するのは難しい。このためチョークの粉をつけて当たった箇所を後でチェックできるようになっているものもある。また、電気ショックを与える"ショックナイフ" - 火薬と鋼といった電気的な刺激で効果を確認する器具も存在する。

作り手

こうしたトレーニングナイフは、作り手によっても違いがある。
(1)ナイフ製造会社が自社製品のトレーニングナイフを作る
(2)カスタムナイフメーカーがハンドメイドで自作ナイフのトレーニングナイフを作る
(3)トレーニングナイフ・用具専門メーカーが作る(ナイフ格闘の道場がプロデュースすることも多い)
(4)自作
基本はこのパターンだが、日本で入手できるものは限られている。ナイフ格闘を教えているところが少ないので、限られた店か道場で買うのが普通だ。トレーニングナイフの多くは2000円〜5000円だが、個人輸入で海外から購入すると送料で高くつく。

選び方

ポイントは
・実際にその格闘技術で想定しているナイフを選ぶこと。ナイフファイティングを学ぶのではなく、ナイフに対する防御、護身技術を学ぶ場合にはポピュラーなナイフに近いサイズ、形状のトレーニングナイフを選んだほうがよい。
・安全性を重視して選ぶこと。角はちゃんと丸められているか、破損しにくい素材であるか、握りのすべりにくさはどうか。また、念のため明らかにトレーニングナイフだと分かる色のほうが良いかもしれない。